酒蔵紹介Sake Brewing
日本酒はお米を原料として造り出される日本の伝統的なお酒で、先人の努力によって編み出された様々な技を駆使して醸されます。原料のお米からアルコールが造り出される主な原理は、蒸したお米を麹かびの持つ酵素によって分解し得られたブドウ糖を酵母菌がアルコール醗酵によってアルコールにすることで出来上がります。
Interview
インタビュー
受賞歴Award History
全国新酒鑑評会
- 平成2年度
- 金賞
- 平成10年度
- 入賞
- 平成11〜13年度
- 金賞
- 平成15年度
- 入賞
- 平成16年度
- 金賞
- 平成17~18年度
- 入賞
- 平成19年度
- 金賞
- 平成20~22年度
- 入賞
山口県新酒鑑評会
- 平成2~5年度
- 優等賞
- 平成6年度
- 優等賞(吟醸酒)
- 平成7~8年度
- 優等賞
- 平成9~10年度
- 知事賞(一般酒)
- 平成11年度
- 知事賞(純米酒)
- 平成12~13年度
- 優等賞
- 平成14年度
- 知事賞(純米酒)
- 平成15年度
- 優等賞(吟醸・純米・一般)
- 平成16年度
- 最優等賞(吟醸)
優等賞(純米) - 平成17年度
- 最優等賞(純米)
優等賞(吟醸) - 平成18年度
- 最優等賞(純米)
優等賞(吟醸) - 平成19年度
- 最優等賞(吟醸)
優等賞(純米) - 平成20年度
- 優等賞(吟醸・純米)
広島国税局 新酒鑑評会
- 平成2~3年度
- 優等賞
- 平成6~14年度
- 優等賞
- 令和2年度
- 優等賞
広島国税局 清酒鑑評会
- 平成14年度
- 優等賞(吟醸)
- 平成15年度
- 優等賞(吟醸・純米)
- 平成16年度
- 優等賞(吟醸・純米・本醸)
- 平成17年度
- 優等賞(吟醸)
- 平成18年度
- 優等賞(吟醸・純米・本醸)
- 平成19年度
- 優等賞(吟醸・純米吟醸・純米)
製造工程Manufacturing Process
玄米・精米
「山田錦などの良質の酒米を求めて」
長陽福娘の原料となる酒米は山田錦・西都の雫などの酒造好適米を使用します。酒米の購入は山口県酒造協同組合を通じて全農山口県本部傘下の契約生産者より購入します。
特に山田錦に関しては萩酒米みがき協同組合に参画する生産者より購入し全量を萩阿武産の地元のもので賄っています。精米に関しては萩酒米みがき協同組合の精米施設において精米をしています。
主な精米歩合は大吟醸で35%、純米吟醸が50%、純米酒で60%程度となっています。
原料のお米は表面に近い層になるほどミネラル分や油脂分、たんぱく質などを多く含んでおり中心に近くなるほど純粋なでんぷん質となっています。この表面の成分を削り取ることで透明
仕込水
「清澄な仕込水を求めて水を磨く!」
長陽福娘の仕込水は蔵の敷地内の井戸に湧き出る阿武川の伏流水を使用しています。全国の名だたる名水に匹敵する水質とはいきませんが、醸造に適した適度なミネラル分を含んだ中軟水となっています。(硬度3.5 ドイツ硬度 JIS表記では62程度)このお水は柔らかくまろやかな飲み心地で長陽福娘の優しい味わいを造りだす一因となっています。さらに清澄な仕込水を得るために、醸造に有害とされる鉄分や有機物の除去を目的として活性炭によるろ過を行い、更に紫外線による殺菌を行っています。昔からの変わらぬ地下水を利用するとともに、そのお水を「磨く」ことでお客様に喜ばれる美味しいお酒を醸すために努力を重ねています。
洗米・浸漬
「酒造りの原点、秒単位の管理で最高を目指す」
精米を終えた白米はMJP式と呼ばれる特殊な洗米器具で洗っています。同時に水に浸すことで蒸米に必要な水分をお米に吸わせます。この洗米と浸漬の工程は上質のお酒を醸す上で必要不可欠な「良い蒸米」を得るために重要な工程となるため、秒単位の細やかな時間調節を行っています。また、洗米は概ね10キログラム単位で行っており、酒米の種類やロットの違い、その日の気温や湿度などの影響によって仕上がりにバラツキを生じるため、その影響を最小限にするために洗米のための水を摂氏10度の一定の温度に調整して行っています。
蒸し
「外硬内軟の良質の蒸米を目指して」
洗米・浸漬を終えた原料米は翌朝蒸気で蒸し上げます。この蒸しの工程では原料のお米を殺菌・消毒すると共にお米のデンプンをα化することで後の工程である麹を造りやすくしたり、仕込んだ醪の中で麹の酵素の作用を受けやすくしたりする効果があります。長陽福娘の蒸しは伝統的な和釜と特殊な二重構造をもった金属製の甑(こしき)で行われ、蒸米の量の少ない時には木製の小型の甑を使用しています。熱源は重油を燃料としたボイラーを用いており、このボイラーの蒸気を和釜に張った井戸水に吹き込むことで清澄な蒸気を創り出しています。
麹造り
「一麹、二もと、三造り」日本酒の味わいを決定づける技の集大成
麹はお米の表面に麹カビと呼ばれるカビを生育させたもので原料のお酒を溶かすための酵素を生産・供給します。蒸しあがった白米は適度に冷まして麹室(こうじむろ)という麹を造るための部屋に運び込み温度や水分を調節した後「種付け」と呼ばれる作業で黄麹という種類の日本酒製造用に古来から伝わるカビの胞子を振りかけます。蒸米をまとめて一晩寝かせてから切り返しと呼ばれる作業でほぐして別の部屋へ移し木製の専用の箱に分けて入れられてそこから約1日掛けて次第に温度を上げていきます。その間2度ほど手入れをして混ぜ合わせることで品温の均一化を図るとともに厚みを調節して理想の麹を造っていきます。
酒母造り
「酒の母、健全な酵母を育て慈しむ」
日本酒の仕込は酒母(しゅぼ・酛(もと))と呼ばれる小さな仕込みから初めます。この酒母では酒造りに必要な大量の酵母菌を増殖させることが目的で、仕込水に麹と蒸米を仕込んだものに専門の施設で培養された酵母菌を加えて、加温・冷却などを繰り返して育てていきます。通常は速醸酛とよばれる酒母造りに必要な乳酸をあらかじめ仕込水に加えておく製法が行われますが、この乳酸を自然に発生させる古典的な製法(山廃酛・生酛など)も一部行っています。
本仕込
「伝統の三段仕込、日本酒ならではの並行複発酵」
大量の酵母菌を含んだ酒母に仕込水・麹・蒸米を加えて醪(もろみ)を仕込みます。これを本仕込といいます。本仕込は通常初添・仲添・留添の3回に分けて行われ、これを3段仕込といいます。これは酒母に原料を少しずつ加えていくことで酵母菌の増殖を促し、かつ仕込の際に誤って侵入する雑菌類の影響を受けにくくする効果があります。仕込み終えた醪は約20日から30日の発酵期間を経て熟成しアルコール度数17%程度のお酒が完成します。
上槽
「出来上がりの瞬間を見極める・新酒の誕生」
日数を重ねた醪は次第に発酵を終え落ち着いてきます。味わいのバランスを見極め搾りのタイミングを迎えた醪は専用の搾り機でお酒と酒粕に分けられますこの工程を上槽(じょうそう)と言います。古くは槽(ふね)と呼ばれる囲いの中に醪を分け取った酒袋を重ねて敷詰め上から圧力を掛けることで搾っていましたが、最近では竪型の自動圧搾装置が用いられるようになり弊社でも薮田産業の自動圧搾機を用いています。
槽口(ふなくち)と呼ばれる部分からは新酒が流れ出してきますが、味わいなどの香味を確認して一旦貯蔵用のタンクに送られます。
瓶詰め・火入れ
上槽を終えたお酒は貯蔵用のタンクで落ち着かせ「おり」と呼ばれる醪の成分が抜け出たものをフィルターを通して取り除き生酒のまま瓶に詰めます。瓶に詰まったお酒は温水に漬けて約65度に加熱することで、殺菌するとともに麹由来の酵素などを失活させ保存性が高められます。これらの作業は「火入れ」と呼ばれ、長陽福娘では瓶燗と呼ばれる手間暇の掛かる方法を採用して1本1本丁寧に火入れを行っています。
貯蔵
火入れを終えたお酒は流水で急冷を行いその後専用の冷蔵施設で貯蔵します。純米酒などの特定名称酒と呼ばれる高品質なお酒はこの冷蔵保存を行うことで美味しさを保たれお客様のお手元に届けられます。